三井のオフィスの取り組み COLORFUL WORK PROJECT 三井不動産
にんべん
社長
髙津克幸さん

日本橋料理飲食業組合の青年会「三四四(みよし)会」でお世話になっています。 佐久間さんの握った鮨はいつも光輝いていますが、本人も日焼けして黒光りしています。

繁乃鮨
社長
佐久間一郎さん

老舗と新顔の飲食店が立ち並ぶ、むろまち小路の奥。粋な暖簾に吸い寄せられるようにお店に入ると、「いらっしゃいませ!」と威勢のいい声が出迎えてくれます。「繁乃鮨」は江戸時代ににぎわった日本橋魚河岸の魚屋「高根屋」をルーツに持つ、江戸前鮨の名店です。吟味した素材と職人技が生み出す“江戸前の味”は家族連れから世界のVIPまで幅広いファンに愛されています。味と信頼を受け継いだ三代目の佐久間一郎さんに、仕事で大切にしていることから、地域の活動、これからの日本橋の街づくりまで、お話を伺いました。

お客様一人一人を思い、真心で鮨を握る。
「時間」や「空間」すべてでおもてなししています。

ー子どものときに見た日本橋はどんな街でしたか。

私は生まれも育ちも日本橋です。子どもだった40年ぐらい前の日本橋は、ほとんどのビルの1階が銀行でしたから、平日の午後3時になるとシャッターが降りてしまって、夜になると特に暗かったことを覚えています。
友だちとよく遊びに行っていたのは日本橋三越。遊び場というより、勝手に遊んでいたという感じですね(笑)。

ー仕事をする上で大切にしていることはなんですか。

「鮨は真心で握る。お客様一人一人を見て握りなさい」とは修業時代によく先代である父から言われたことです。例えば、お箸で召し上がるお客様にはちょっときつめに握ったり、手で召し上がるお客様にある程度軟らかめに握ったりしています。鮨屋はカウンター商売ですからね。お客様の様子を見て、会話を交わして、その方が心地よいと思ってくださるようなお鮨や料理をお出しし、接客することを心がけています。

単に食事をして帰っていただくのではなく、お客様がお見えになって帰るまでの「時間」や「空間」のすべてがおもてなしだと考えています。ゆったりした店内でおいしいものを楽しんでいただき、笑顔になってお帰りいただく。そしてまたお見えになっていただく…。そんなふうに利用してもらえたらうれしいですね。

−日本橋三四四(みよし)会の活動にも熱心に取り組まれているとお聞きしました。

三四四会とは日本橋料理飲食業組合の青年部で、伝統を受け継ぐ二代目、三代目が集まった若手経営者の会です。これまで4年間会長を務め、この10月に次のメンバーにバトンタッチしたばかり。もちろん経営者としての勉強会もやりますが、最近は日本橋の街全体を巻き込んだイベントにも力を入れていて、一年を通してさまざまな催し物を行っています。

春にはニホンバシ桜屋台と称して各店のオリジナルメニューを提供したり、夏は浴衣で街歩きをするイベントをやったり。女性はもちろん、男性も一緒に浴衣を着るきっかけにしてもらうのが狙いです。日本橋三越の地下で開催したフードコレクションは今年で4年目になりました。イベントではただ出店すればいいということではなく、必ず自分たち店主が自ら店に立つようにしています。たくさんのお客様と直接お話をすることでお店に興味を持ってもらうきっかけになり、次は実際にお店に足を運んでもらえる。こうして日本橋の街全体が活気づく仕組みになっていくことを期待しています。

三四四会のメンバーは家族ぐるみで付き合いがあったり、一緒に育った仲間が多いこともあって、みんな本当に仲がいい。日本橋に行きつけのバーがあるんですが、ある夜、どんどんメンバーが集まってきて、気づいたら20人ぐらいで飲んでいたこともあります(笑)。その店のマスターも三四四会のメンバーなんですが、うちの父が彼をとても可愛がっていて、そして今はマスターが私を可愛がってくれます。父は、私に言いにくいことをマスターに言い、マスターがそれを私に伝えることも多かったですね(笑)。親に言われたら素直に聞けないことも、先輩の口を借りて伝えられると胸に響くんですよ。これが“日本橋式の教育”なのかもしれませんね。

目指すのは「1日中楽しめる日本橋」。
伝統を受け継ぐ次の世代にバトンを渡したいですね。

※相手に寄り添う佐久間さんのあたたかい接客で、気付けば自然に笑みがこぼれてしまう。

−これからの日本橋の街づくりについて教えてください。

銀行やオフィスビルばかりだった“月曜から金曜までの街”は、今や、土曜も日曜もお客様でにぎわう“7日間の街”になりました。三四四会の目標は「ここ日本橋でこれから50年、100年と商売を続けていく」。そのためにはいつも人が集まり、にぎわいがあり、活気のある街でなければならない。そこで、次に目指すのが「1日滞在型の日本橋」です。

お昼にランチをして、ショッピングしたり、映画を観たり。夜もまた食事して、満足して帰る。われわれ個人経営の店だけでは土曜、日曜まで休みなく営業するのは難しいですが、日本橋三井タワーやCOREDO室町などの商業施設があるので、週末は映画やショッピングを楽しんでもらえます。日本橋の街全体で協力して、1日中楽しめる街にするのが、暖簾を受け継いだ私たちの使命だと思っています。

※佐久間さんによる熟練のにぎり(左)と、上品なシャリに、艶々と輝く赤身が際立つ厳選素材のお寿司(右)

−エネルギッシュな佐久間さんですが、疲れたときのリフレッシュ法はありますか。

疲れているときこそ、走る!バーベルを上げる!筋肉を鍛えることです。トライアスロンやマラソン、それからゴルフもやっているのでこんなに黒くなってしまいました(笑)。疲れているときこそ身体を動かすのが私流。回遊魚のごとく、止まりませんよ!

※この情報は2017年10月現在のものです。