三井のオフィスの取り組み COLORFUL WORK PROJECT 三井不動産

日本橋喋々

ワーカーの皆様の防災意識をより身近に、
イベント性をプラスした新しい訓練のカタチ

2月17日(月)に日本橋三井タワー・三井二号館・三井本館にお勤めの方々を対象に開催された「防災イベント」。 指揮を取った三井不動産ビルマネジメント株式会社の髙野 俊也さんに、例年行なってきた共助訓練とは一線を画した要素を取り入れた背景や内容、参加した方々の反応などを語っていただきました。

今回の防災イベントは日本橋三井タワーとして初の試みだったとのことですが、訓練ではなくイベントとして開催した背景から聞かせてください。

会場の日本橋三井タワー1階アトリウム

髙野)これまで私どもは、日本橋三井タワー・三井二号館・三井本館にご入居のテナント様に向けて、「共同防火防災管理協議会」「総合訓練」「共助訓練」という形で年3回の防災訓練を実施してきました。 対象はテナント企業の総務の方々です。協議会では講習会を開いたり、毎朝実施している訓練をご見学いただいたり。そんななか「共助訓練の方は、一度イベント形式にしてみてはどうか」という声が上がりました。

理由は大きく二つ。一つは、毎年2月に行っている帰宅困難者訓練を刷新したいという思い。災害が起きて帰宅困難者が出た場合、ビル側のスタッフだけでは人員が足りず、テナント様にボランティアをお願いすることがあります。 その時にどう動いていただくかをご理解いただくのが、帰宅困難者訓練の目指すところなのですが、毎年同じような内容に、若干マンネリ化が始まっていました。

もう一つは、防災訓練に参加なさっていた総務の方々からのご要望です。 毎年、三井のオフィスに入居している方々にアンケートをお願いしているのですが、防災関連のアンサーに総務の方々から「もっと多くの社員に避難訓練以外の訓練も体験させたい」という声がありました。 実際、社員数が多く、総務だけで統率を取るのは難しいというテナント様もおられます。そんなこともあって、ワーカーのみなさんが参加できるイベントにした方がいいのではという流れになっていきました。

緊張感を伴う訓練とイベントではイメージが異なると思いますが、すり合わせは大変でしたか。

髙野)そうですね。大変でしたが、その点は4つのゾーンに分けることで解決できました。 「帰宅困難者ゾーン (1)」と「防災グッズ利用体験ゾーン (2)」ではこれまでの訓練内容を踏襲して、「地震ザブトンゾーン (3)」と「火災臨場体験ゾーン (4)」でイベント感を出した感じです。 順番はともかく、全部回っていただきたいという想いと、初年ということでお土産もしっかりお付けして集客をはかりました。

帰宅困難者ゾーンのAED訓練は、テナント様からご要望をいただいての実施になりました。 テナント様と共に大規模なAED訓練を行ったのは久しぶりで、これもイベントにしたからできたことだと思います。

実際に集客の方はいかがでしたか。
例年とは違う中でのご準備で、責任者としてのご苦労もあったかと。

髙野)たくさんの方にご来場いただき、まずは成功と捉えてはいます。ただ、責任者として反省点は多く、学びの連続でした。チームに助けられました。

実は、受付を済ませたお客様には、決められた通りの動線でゾーンを回っていただく予定だったんです。 ところが前日になって、すいているゾーンに自由に入っていただいくことに急遽変更。 実際、当初の動線通りだったら人が多すぎて捌ききれず、迷惑がかかってしまったと思います。私自身イベントに慣れてないため、どうしてもオペレーション通りにしないといけないという凝り固まりがあったのですが、 時には外れることも必要だと学びになりました。

参加された方々からはどんな反応がありましたか。

髙野)現場でのヒアリングとアンケートの結果では、総じて高評価をいただきました。特に評価が高かったのは、「火災臨場体験VR」ですね。 映像とはいえ火の粉と煙が蔓延する中での避難。体験しておいてよかったという声と共に「とっても怖かった」という方もいました。 「避難経路はあるな」くらいで普段は意識していないという声が多かったのですが、大きな建物ほど意識が必要な場所です。

「地震ザブトン」はフラッシュバックしてしまう方もいるかもしれないコンテンツではあったんですけど、こちらも大勢の方に体験いただきました。 私は東日本大震災で被災した身なので、当時の恐怖感を思い出すところはありましたけれど。思い出したくないけど、忘れてもいけない。 災害はいつ何時起こるかわかりません。いきなりその日が来て、いつもの日常が一気に崩れ去るので。 2011年当時、私はまだ学生で5分前に通った渡り廊下が落ちるのを目の前で見ました。大学で都市政策や都市計画を専攻したのも、あの時の体験があったから。

災害から社員をどれだけ守れるかというのは、オフィス物件を選ぶ上でとても重要な要素ですね。

髙野)そうですね。テナント様の中には三井の防災力や非常時の対策に共感して、入居の決め手にしてくださる方もいらっしゃいます。 日本は位置や地形、地質、気象などの自然条件からも、豪雨や地震などによる災害が発生しやすい国土です。実際、頻繁に災害が起きていますし。 物件を選ぶ上で災害対策はますます重要視されていくのではないでしょうか。

最後に防災に関して、今後の展望をお聞きかせください。

髙野)防災訓練に関しては今回の体験を活かして次回に繋げていけたらと。内容を練って新規性のあるものを取り入れたいと思っていますが、 まずは対象を総務の方からワーカーのみなさま全員に拡大したことで、多くの方にご参加いただいたことに感謝申し上げます。そして防災への意識を再確認する機会となれたことを願っています。

また、現在、防災センター内では毎日ミニ訓練や月2回以上の複合実践訓練を実施していますが、非常時の対策強化にゴールはありません。 常駐メンバーはもちろんですが、私たちも防災センターの設備員や警備員としっかりディスカッションしながら、日本橋三井タワーチームが一丸となって取り組んでいきたいと思います。 みなさまに安心してお過ごしいただくことが我々の仕事です。そのためにもケーススタディ訓練はより細やかに行っていきたいですね。

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プロフィール

髙野 俊也

三井不動産ビルマネジメント株式会社
オフィス事業推進本部 エリアマネジメント事業一部
日本橋エリアマネジメント第一オフィス

日本橋三井タワーにご入居されるテナント様のサポートや日本橋室町エリアで実施されるイベントへの後援に従事。 自身の被災経験から防災に強い関心を持ち、大学では都市政策を専攻。今回の防災イベントでは責任担当者としてプロジェクトに携わる。