三井のオフィスの取り組み COLORFUL WORK PROJECT 三井不動産
福徳神社
宮司
真木千明さん

にんべんさんと福徳神社は江戸時代から続く本当に長いおつきあい。現在は町会の副会長であり、趣味がトライアスロンというスポーツマンですよ。

にんべん
社長
髙津克幸さん

日本橋の目抜き通りにあるCOREDO室町1の1階。自動ドアが開くと、どこか懐かしい「日本のおいしい香り」に包まれます。誰もがその名を知る、かつお節専門店「にんべん」の日本橋本店には、削りたての本枯節でとった「だし」がスタンディングで味わえる「日本橋だし場(NIHONBASHI DASHI BAR)」があります。社長の高津克幸さんは、江戸時代に創業した初代から数えて、なんと十三代。「日本橋だし場」をはじめ、かつお節を身近に味わえる商品を次々と世に送り出しています。

「かつお節屋」として原点回帰し、
「本物」のかつお節の味を伝えていきたいですね。

ー小さいころから、かつお節やだしに親しまれていたのですか。

かつお節には育てられましたね(笑)。高津家に代々伝わる伝統として元日の朝、子供が家族全員分のかつお節をけずり、それで雑煮のだしを取るのが習わしでした。高校生のときには、両親ともにんべんで働いていたので、おやつに自分でかつお節でだしをとってお餅を焼いて、雑煮を作ってよく食べていました。小さいころから母親がやっていたのを見ていたので、だしの取り方は自然に身についていましたね。

ー「日本橋だし場(NIHONBASHI DASHI BAR)」が生まれるきっかけは何だったのですか?

日本橋室町の再開発エリアに弊社の自社ビルがあったため、新しく共同ビルに建て替えることになり、その際に仮店舗にしたのが、今の場所でした。それまで、かつお節といえばお祝い事などのギフトが中心でしたが、これからは「色々体験できて、学べる。五感に訴える店」を作っていきたいと考えました。

そんな中で各所から「だしが試飲できる、テイスティングできる場所があったら面白いよね」という話をいただき、やってみようと。試作段階では「だしにフルーツのフレーバーを合わせてごくごく飲めるようにする」など本当に色々試行錯誤しましたが、どれもこれも美味しくなくて(笑)。もう時間切れ…という時に「シンプルに、だしそのものを味わえる場所にしよう」と原点に戻って生まれたのが「日本橋だし場」でした。

−今では当たり前になっているパック入りのかつお節に始まり、さまざまな新商品を開発されていますよね。

「つくりたて、削りたての味をいつでもどこでも」ということで、フレッシュパックを発売したのが昭和44年(1969年)です。さらに近年は「かつお節屋」として原点回帰し、カビをつけて熟成させた「本枯れのかつお節」の良さを掘り下げた商品開発をしています。だしパックの「薫る味だし」もそのひとつ。通常、かつお節に塩を加えると水分が移行してベタベタになるため、熱をかけてかつお節を乾燥させる必要がありますが、そうするとかつお節の香りが飛んでしまう。弊社では、香りを保つために低温で乾燥させています。それは料理屋さんで出てくるお椀そのままの本格的な味と香りがインスタントで再現できるということです。だしパックは一つ一つ個包装にして密封し、鮮度を生かしています。味付けは塩と砂糖、醤油のみ。化学調味料など味を補強するものは一切いれていないので、本枯れのかつお節そのままのうまみを味わっていただけます。

それぞれにのれんを継ぐ“先輩たち”が街のこと、
仕事のことを教えてくれる。日本橋はそういう街です。

※店内には鰹節の削り体験コーナーもある。特別に高津社長に実演してもらった。

−日本橋とは、経営者にとってどんな街ですか。

日本橋には100年以上続くお店がたくさんあります。それぞれにのれんを継いでいますが、その年代は様々です。年長者は若い人に、色々なことを教えてくれます。私もたくさんの先輩方に可愛がっていただいていますが、その中のおひとり、榮太楼総本舗の80代の相談役に、どうしてこんなに良くしてくれるのか尋ねたら「私はあなたのおじいさんから同じように教えてもらった。同じことをしているだけなんだよ」と。こういう粋で頼りになる「おじいさん」や「お父さん」がいっぱいいるからこそ、日本橋という商業の街が続いてきたのだと思います。

※香り高いだしを味わえる店内の試食コーナー(左)と炊き込みご飯が名物の和食店「日本橋だし場 はなれ」(右)

−これから、にんべんさんが目指していくことを教えてください。

上質なかつお節でとるだしは「味のインフラ」だと思っています。和食の土台となるものですね。もっと身近にかつお節を使ってもらうために、「料理」を通してかつお節を味わっていただく。日本橋だし場でのお弁当や惣菜の販売に加え、かつお節だしを使った料理が味わえる「日本橋だし場 はなれ」など飲食業にも力を入れていきたいと考えています。

−日々お忙しいとは思いますが、どんなふうにリフレッシュされていますか。

トライアスロンを始めて、今年で6年目になりました。水泳、自転車、長距離走の3種目ですが、タイムを縮めたり、まだまだ向上の余地があって楽しいですね。今年の目標は水泳のタイムで1.5kmを30分切ること。昨年は34分でした。

お酒が好きなので飲んでリフレッシュもしますが、ついつい飲みすぎてしまうこともあります。トライアスロンの大会が近づくと控えるので、いい歯止めになっているかもしれませんね(笑)

※この情報は2017年8月現在のものです。